家庭訪問の時期である。
しかし普段あまり
お目にかかったことのない先生の顔は、
申し訳ないがよく覚えていない。
入口のドアがガチャッと開き、
「こんにちはァ!」
「はい」
と私。
「あ、どうも」
「
どうも」
「…」
「…?」
「えー…」
「保険なら間に合ってます」
「いえ、保険じゃなくて」
「宗教もお断り」
「そうじゃなくて、
家庭訪問なんですけど」
「・・・・・!」
「担任の○○です」
間。
「ア先生でしたか。すみませんお見それしちゃって。おーいお母さん先生お見えになったよ、お茶出してお茶。ア先生こっち仕事場なんで玄関の方へ回ってください。ていうかウチ設計事務所やってましてははは。いやースミマセンお見それしちゃって。いい天気でよかったですねははははー。」